服を仕立てるとき、最後まで残るものは何か。私たちはこの問いから始めました。装飾を一つずつ外し、余分な切り替えをなくし、それでも服として成立する最後の要素 ── それが、肩から裾へと流れる一本の線でした。
ESVELLは、どの辞書にもない言葉です。日本で、まず「音」として生まれました ── どの言語でも、そっと口にできる響きとして。そしてその音の中には、三つの古い言葉が眠っています。Esse ── ラテン語で「在る」。エッセンス(本質)の根。Velle ── ラテン語で「意志する」。意志という言葉の根。Svelte ── すべてを削ぎ落とした後に残る、一本の清らかな線。
在りたい自分を、自分で選ぶこと。そして、その選択だけをまとうこと。私たちの仕立ても、いつもこの一点に返ってきます。足すことよりも引くこと。何を加えるかではなく、何を残すか。ESVELLは、「着る、名前」なのです。
線だけを残すことは、簡単なようでいて、ごまかしがきかない仕事です。切り替えの少ないパターンは、生地の質と裁断の正確さをそのまま映します。1センチに8針のステッチも、コロゾのボタンも、線を支えるための選択です。目立つための要素をもたないぶん、すべての工程に理由が必要になります。
流行は、季節ごとに新しい線を提案します。私たちはそれを追いません。体に沿い、動きに従い、時間が経っても古びない線だけを、時間をかけて探します。ワードローブの中でいちばん長く生きる一着になること。それがESVELLの服の役割だと考えています。
このジャーナルでは、コレクションの背景にある考え方、素材と機屋のこと、仕立ての工程、そしてメゾンの日々を、少しずつ書いていきます。華やかな発表の場というより、アトリエの記録に近いものになるはずです。
ファーストコレクション「The Line」は、まもなくお披露目します。その最初の一着、Coat 01 ── L'Horizonの物語も、ここで改めてお話しします。
── Maison ESVELL