ブランドに名前をつけるとき、多くの場合は意味から始めます。私たちは逆でした。ESVELLは、まず「音」として生まれた名前です。どの言語の人が口にしても、そっと発音できること。強く主張しないのに、一度聞いたら残ること。紙に書いたとき、文字の連なりが一本の線のように見えること。そうして残った音が、エスヴェル ── ESVELL でした。

名前が決まってから、私たちはその響きの中に、三つの古い言葉が眠っていることに気づきました。Esse ── ラテン語で「在る」。英語のエッセンス(本質)の根にある言葉です。Velle ── ラテン語で「意志する」。英語のwill、意志という言葉の源流です。そして Svelte ── すべてを削ぎ落とした後に残る、一本の清らかな線を表す言葉。

在ること。意志すること。削ぎ落とすこと。三つを並べたとき、私たちが服づくりで大切にしてきたことが、そのまま名前の中にあったのだと分かりました。意味を求めて作った名前ではなく、音を磨いていったら意味が現れた ── その順序を、私たちは気に入っています。服も同じだからです。かたちを整えていくと、最後に思想が現れる。

ESVELLという言葉は、どの辞書にもありません。それは不便なことのようで、実は自由なことです。辞書にない言葉は、着る人が意味を書き足していける。あなたがこの服とともに過ごした時間、選んできた在り方、そのすべてが、この名前の定義になっていきます。

だから私たちは、ESVELLをこう説明することにしています ──「在りたい姿を、意志する」。そして、もう少し短く言うなら。ESVELLは、『着る、名前』なのです。

── Maison ESVELL